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様々な「こわい」を味わう:「学校の怪談じゃ、ものたりない? 君に綴る5つの恐怖」レビュー

目次

はじめに

生きていると「怖い」と感じることってありますよね。でも、その「怖い」はすべて同じでしょうか?実は、恐怖にもいろんな種類があるんです。角川文庫の「学校の怪談じゃ、ものたりない? 君に綴る5つの恐怖」は、そんな様々な「こわい」を楽しめるアンソロジーとして、読書初心者にとっても読みやすく工夫された一冊です。

読書初心者にも優しい工夫

親しみやすい文体

本書は角川文庫らしい読みやすい文体で書かれており、ホラー小説を初めて読む方でも安心して楽しめます。難しい表現や複雑な構成は避けられ、すっと物語の世界に入り込めるよう配慮されています。

短編集の魅力

一つ一つの話が短いので、読書に慣れていない方でも一話ずつ区切って読み進めることができます。「今日は一話だけ」という気軽さが、読書習慣を身につけるのにも最適です。

収録作品詳細

1. 梨「イオ」

現代ホラー界で注目される作家・梨による作品。独特の文体と心理描写で読者を恐怖の世界に引き込みます。

2. 内藤了「CHURCH ――恐界――」

ミステリー・ホラー界で活躍する内藤了の短編。タイトルからも想像される宗教的な要素を含んだ恐怖が描かれています。

3. 藤ダリオ「サイコロあそび」

デスゲーム要素を含んだ作品。一見無害に見える「サイコロあそび」に隠された恐ろしい真実とは?

4. 伴名練「押し入れの宇宙飛行士」

SF作家としても知られる伴名練による、現実問題に根ざした新しいタイプの恐怖作品。モキュメンタリー風の手法も取り入れられているとされ、想像する典型的なホラーとは一線を画した深い内容となっています。

5. 澤村伊智「しゃぐらどりの娘」

『ぼぎわんが、来る』で注目を集めた澤村伊智による作品。日本の伝承や民俗学的要素を巧みに取り入れた恐怖を描きます。

豪華執筆陣の魅力

ホラー小説界の最前線で活躍する作家陣が集結し、物語の主人公は全員高校生という設定で、読者にとって身近で共感しやすいキャラクターたちが様々な恐怖を体験します。お化け、恐怖物件、青春、デスゲーム、モキュメンタリーなど、たくさんの「こわい」が凝縮された恐怖小説アンソロジーとなっています。

いろんな種類の「こわい」を体験

日常生活で感じる恐怖も、よく考えてみると様々な種類があります。暗闇への恐怖、知らない人への警戒、将来への不安、失敗への恐れ…。この本では、そんな多種多様な「こわい」を5つの短編を通して体験できます。

収録された5つの恐怖

  • 心理的恐怖 – 読者の心の奥底に潜む不安を呼び起こす
  • 超自然的恐怖 – 現実を超越した存在による恐怖
  • ゲーム的恐怖 – ルールに支配された極限状況での恐怖
  • 現実的恐怖 – 現代社会の問題から生まれる恐怖
  • 民俗的恐怖 – 日本の伝承に根ざした古来からの恐怖

特に印象深い作品:「押し入れの宇宙飛行士」

数ある収録作品の中でも、特に「押し入れの宇宙飛行士」は読者に深い印象を残す一作です。この話は、想像する典型的なホラーのジャンルとは少し違った、現実問題として深く考えさせられる内容になっています。

現実と向き合う恐怖

「押し入れの宇宙飛行士」を読み終わると、この世界には様々な問題があることを改めて実感させられます。そのうちの一つとして、確かに重要な問題を扱った作品だと感じるでしょう。

読者は「自分がいますぐに何かをしたところで解決できるようなことではない」というもどかしさを覚えながらも、「確かに恐い話だよな」と感慨深くなってしまうような、複雑な感情を抱くことになります。

新しいホラーの形

従来のホラー小説が持つ超自然的な恐怖とは異なり、現実に根ざした問題から生まれる恐怖を描いているのが印象的です。これこそが、この作品集のタイトルにある「学校の怪談じゃ、ものたりない?」という問いかけの真意なのかもしれません。

アンソロジーとしての魅力

一冊で多様な体験

5つの異なる作品が収録されているため、一冊読むだけで様々なタイプの恐怖を味わうことができます。お気に入りの「こわい」が見つかるかもしれません。

飽きない構成

それぞれの話が違う種類の恐怖を扱っているので、読み進めても飽きることがありません。一話読み終わるたびに、次はどんな「こわい」が待っているのかワクワクします。

こんな方におすすめ

読書初心者の方

  • 短編なので気軽に読める
  • 読みやすい文体で書かれている
  • 一話完結なので途中で止めても大丈夫

ホラー入門者の方

  • いろんな種類の怖さを一度に体験できる
  • 自分の好みの「こわい」を見つけられる
  • 極端に怖すぎない適度なレベル

様々な恐怖を楽しみたい方

  • 5つの異なるタイプの恐怖体験
  • アンソロジーならではの多様性
  • 飽きずに最後まで読める構成

社会問題に関心のある方

  • 現実に根ざした恐怖を体験したい
  • エンターテイメントを通して深く考えたい
  • 新しいタイプのホラーを求めている

おすすめポイント

  1. 手軽なサイズ感 – 文庫本なので持ち運びが便利
  2. 短編集の利点 – 一話ずつ読み進められる
  3. 多様な恐怖 – 5つの異なるタイプの怖さを体験可能
  4. リーズナブルな価格 – 角川文庫の手頃な価格設定

注意点

本書は恐怖を主体とした内容のため、以下の方にはおすすめしません:

  • ホラーが苦手な方
  • 就寝前の読書を予定している方
  • 心理的に不安定な時期にある方

まとめ

「学校の怪談じゃ、ものたりない? 君に綴る5つの恐怖」は、いろんな種類の「こわい」が集まった、読書初心者にとっても読みやすく工夫されたアンソロジーです。

生きていると感じる様々な恐怖を、5つの短編を通して安全に体験できる貴重な一冊。特に「押し入れの宇宙飛行士」のように、現実問題と向き合う新しいタイプの恐怖も収録されており、単なるエンターテイメントを超えた深みを持った作品集となっています。

ホラーが初めての方も、読書に慣れていない方も、そして現実の問題について考えたい方も、気軽に手に取ってもらいたい作品です。読み終わった後、きっとあなたなりの「こわい」についての新しい発見があるはずです。


書籍情報

  • タイトル: 学校の怪談じゃ、ものたりない? 君に綴る5つの恐怖
  • レーベル: 角川文庫
  • 著者: 澤村伊智、内藤了、梨、伴名練、藤ダリオ
  • 価格: 814円(本体740円+税)
  • 発売日: 2025年7月25日
  • ページ数: 272ページ
  • ISBN: 978-4041162880

おすすめブックカバーです。

では、また。

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