本棚に、読んでいない本が何冊あるでしょうか。
僕は正直に数えたことがあって、そのときは14冊でした。買ったときは「絶対に読む」と思っていたはずの14冊です。
積読(つんどく)が増えてくると、本棚を見るたびに少し胸が痛くなります。読みたくて買ったのに読めていない、という事実が、じわじわと罪悪感になって溜まっていく。ひどいときは「読めていないのに新しい本を買うのは良くないことだ」と思って、本屋に行くのをやめてしまったこともありました。
でも今は、積読をほとんど気にしていません。冊数が減ったからではありません。積読の見方が変わったからです。
この記事では、積読との付き合い方と、それでも崩したいときに僕が実際にやっている5つの方法を書きます。「積読を全部読み切りましょう」という話ではありません。もっと気楽な話です。
積読が増えるのは、読書に興味を失っていない証拠
まず、いちばん言いたいことから書きます。
積読が増えているというのは、本を買い続けているということです。そして本を買い続けているというのは、読書への興味がまだ死んでいないということです。
読書から距離ができると、本を買う機会も自然に減っていきます。積読が増えて困っているなら、それはまだ「読みたい」という気持ちが残っている証拠です。
僕は一時期、ブログを始めたせいで読書時間がむしろ減ったことがあります。そのときも本は買っていました。読めていないのに買っていた。あれは、読みたい気持ちだけが先に走っていた時期でした。あとから振り返ると、あの積読が「読書に戻ってくるための道しるべ」になっていたと思います。
買った本が家にあるから、また読み始められる。何もなければ、そこで終わっていました。
それでも積読が苦しくなるのは、どんなときか
とはいえ、積読が完全に無害だとは思いません。僕が「これはしんどい」と感じたのは、次のようなときでした。
「読まなければいけない本」に変わったとき
買った瞬間は「読みたい本」でした。それが数か月経つと「読まなければいけない本」に変わります。この変化が起きた本は、本当に読みづらくなります。楽しみだったものが宿題になるからです。
冊数が多すぎて、次の1冊が選べなくなったとき
これは意外な落とし穴でした。積読が10冊を超えたあたりから、逆に手が止まるんです。どれを読んでも「他のほうを先に読むべきだったかも」という気がしてくる。選択肢が多すぎると、選ぶこと自体が面倒になります。
見えない場所に積み上がったとき
本棚の奥、押し入れ、電子書籍のライブラリの下のほう。見えない場所にある積読は、崩れることがありません。それでいて「あるという事実」だけは頭に残るので、罪悪感だけが残ります。いちばん質の悪い積読です。
積読を崩す5つの方法
ここからは実践編です。全部やる必要はありません。ひとつ試すだけでもだいぶ変わります。
① 1冊を読み切ろうとせず、全部を「開く」
積読を前にすると、つい「上から順に読み切ろう」と考えます。これがうまくいったことは一度もありません。
代わりにおすすめしたいのは、積読の全部を1回ずつ開いて、最初の5ページだけ読むやり方です。14冊あるなら14冊全部です。1冊5分もかかりません。
これをやると、はっきり分かります。5ページで手が止まらない本が、1〜2冊見つかることがあります。その本が「今のあなたが読める本」です。順番を守るより、こっちのほうが圧倒的に早く1冊減ります。
② 薄い本と短編集を意識的に混ぜる
積読が長編ばかりだと、崩れるスピードが落ちます。長編は面白くても、読み終わるまでに数日から数週間かかるので、「減っている実感」が得られません。
そこで、次に読む候補に薄い本や短編集を混ぜます。短編集は1話ごとに区切りがあるので、10分あれば1話読めます。この「今日も読んだ」という感覚が、次の日の1冊につながります。
僕がこの用途でよく手に取るのは綾辻行人『心の闇』のような短編集です。1話が短くて、しかも1話ごとにきちんと落ちる。積読が重いときの助けになります。
③ 買った理由を思い出せない本は、手放していい
これがいちばん効きました。
積読を1冊ずつ手に取って、「なんでこれを買ったんだっけ」と考えてみます。すぐに思い出せる本は、まだ読む可能性があります。でも、まったく思い出せない本もあるんです。セールで安かったから、話題になっていたから、それくらいの理由で買った本です。
その本は、手放していいと思います。売っても、誰かにあげても、しばらく箱にしまってもいい。読む気のない本を本棚に置いておくことに、何のメリットもありません。罪悪感を発生させるだけの装置になっています。
僕は14冊のうち4冊をこの基準で外しました。残った10冊は、外す前より選びやすくなりました。
④ 積読は「見える場所」に平積みする
本棚に立てて並べると、背表紙しか見えません。背表紙は情報量が少ないので、目に入っても手が伸びません。
そこで、積読だけは表紙が見えるように平積みにしています。置き場所は、寝る前に必ず通る場所がいいです。僕は枕元に3冊だけ平積みしています。表紙が見えていると、驚くほど手が伸びます。
電子書籍でも同じことができます。読みたい本だけをコレクションにまとめて、ホーム画面に置いておく。ライブラリ全体をながめると数の多さに負けるので、3冊だけ見えるようにするのがコツです。
紙と電子の使い分けについては紙の本と電子書籍の使い分けを書いた記事にもまとめています。
⑤ 本を買うことを完全には止めない
直感に反するかもしれませんが、これは本気で書いています。
「積読を崩すまで買わない」というルールを自分に課したことがあります。結果はよくありませんでした。本屋に行かなくなり、新しい本の情報も入らなくなり、読書そのものへの熱が下がったんです。積読は減りましたが、それは読書量が増えたからではなく、読書への関心が薄れたからでした。
本屋で「これ面白そう」と思う瞬間が、読書を続ける燃料です。その楽しみまで無理に断つ必要はありません。積読が増えることより、読みたい気持ちがなくなることのほうが、よっぽど怖いことだと思います。
積読は、未来の自分に用意しておく在庫
僕は夜勤のある生活をしています。仕事から帰って、疲れているけれど眠くはない、という時間がよくあります。
そういうときに「読む本が家に一冊もない」というのは、けっこう困るんです。本屋も閉まっている。今から選んでいる余裕もない。そんな夜に手を伸ばせる本があるというのは、実はかなりありがたいことです。
この見方に変えてから、積読が「消化しなければならないタスク」ではなく、読みたくなったときのための在庫に見えるようになりました。在庫が多いことは、悪いことではありません。
読書が続かないと感じている方には、読書が続かない人に向けて書いた記事もあわせて読んでみてください。積読の話とはまた別の角度から、気楽に本と付き合う工夫をまとめています。
読書のお供に(自作BGM)
積読を崩す日のために、読書用のBGMを自分で作っています。手が止まりやすい日は音があるほうが進むので、よかったら使ってください。詳しくはチャンネル紹介の記事へ。
さいごに
積読を全部読み切る必要はありません。減らさなくてもいいし、増えてもいい。
ただ、もし本棚を見て気が重くなっているなら、今日だけ、積読の全部を手に取って最初の5ページを読んでみてください。手が止まらない本が見つかるかもしれません。
その1冊が見つかったら、それはもう積読ではなく、読んでいる本です。






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