「1冊読むのに2週間かかる」
「友達は月に10冊読んでいるらしい」
「自分は読むのが遅いから、読書に向いていないのかもしれない」
僕も同じことを考えていました。読書を始めたころ、1冊にどれくらいかかるかを測ってみたら、文庫本1冊で1週間以上かかっていました。世の中には「月に20冊読む」という人がいると知って、正直へこみました。
今は、読む速さをまったく気にしていません。速くなったからではありません。速さが読書の価値と関係ないと分かったからです。
この記事では、読むのが遅い理由の切り分け方と、それでも速く読みたい人向けの工夫、そして「遅いままでいい」と僕が思う理由を書きます。
まず、あなたの「遅い」がどのタイプか切り分ける
「読むのが遅い」とひとことで言っても、原因はまったく違うところにあります。ここを間違えると、対策が的外れになります。
タイプA|読んでいる時間そのものが短い
1冊に2週間かかっているけれど、よく振り返ると1日に読んでいるのは5分だけ、という場合。これは読む速度の問題ではなく、読書に使っている時間の総量の問題です。
実はこのタイプがいちばん多いと思います。そして、いちばん解決しやすいタイプでもあります。速読の練習をする必要はまったくなくて、1日の読書時間を10分から20分にできれば、読める量は自然に増えます。
タイプB|同じ行を何度も読み返している
読んでいるのに内容が頭に入らず、同じ段落を2〜3回読み直してしまう場合。これは集中の問題です。疲れているとき、寝る直前、スマホが手元にあるとき、たいていこうなります。
僕は夜勤明けにこれをよくやりました。疲れているのに眠くはないので読み始めるんですが、同じページを何周もしている。あれは速度が落ちているというより、読めていない状態です。
タイプC|1文字ずつ丁寧に読んでいる
頭の中で音読しながら、全部の文字を追っている場合。これは純粋に読む速度の話です。
ただ、これを欠点だと思わないでください。頭の中で音読する読み方は、文章のリズムや会話の間を味わえる読み方です。小説を読むなら、むしろ有利に働く面があります。速い読み方に矯正すると、失うものもあります。
速く読みたい人向けの、無理のない3つの工夫
それでもペースを上げたいときに、僕が実際に効果を感じたものだけ書きます。速読術のような特別な訓練は入れていません。
① 読む時間を「まとめる」
同じ20分でも、5分ずつ4回読むより、20分まとめて読んだほうが進みやすいことがあります。
小説は物語に入り込むまでに助走が必要です。細かく中断すると、そのたびに登場人物や直前の流れを思い出す時間が増えます。まとまった時間を取れる日は、少し長めに読むほうが進みやすくなります。
まとまった時間をどこに作るかについては、読書に向いている時間帯を考えた記事にも書いています。生活によって最適な場所は違うので、自分の1日を一度見直してみるといいと思います。
② 自分に合う「文章の速さ」の本を選ぶ
本には読みやすさの差が確実にあります。同じページ数でも、かかる時間が3倍違うことがあります。
会話が多い、一文が短い、章が細かく区切られている——こういう本は速く進みます。逆に、地の文が長い、登場人物が多い、時代設定が遠い本は時間がかかります。どちらが優れているという話ではなく、単に速度が違うだけです。
「自分は遅い」と思っている人が、実は難しい本ばかり選んでいた、というのはよくあります。まず速く進む本で「1冊読み切れた」という感覚を持つのが先です。本の選び方は初心者でも迷わない本の選び方にまとめました。
③ 音で読む選択肢も持っておく
目で読むのが遅いなら、耳で読むという手もあります。
オーディオブックは、通勤中や家事中といった「目が使えない時間」を読書時間に変えられます。読む速度が上がるわけではありませんが、読書に使える時間の総量が増えるので、結果として読める冊数は増えます。
僕が使ってみた感想はAudibleの魅力をまとめた記事に書きました。すべての本が対応しているわけではないので、目で読む読書の代わりではなく、追加の手段として考えるのがちょうどいいと思います。
Audibleプレミアムプランなら数十万以上の対象作品が聴き放題!それでも僕が「遅いままでいい」と思う理由
ここまで工夫を書いてきましたが、正直に言うと、僕は今もそれほど速くありません。そして困っていません。
理由は3つあります。
ひとつ目。読んだ冊数は、誰とも競っていません。月に20冊読む人がいても、その人の読書体験が僕の読書体験より優れているわけではありません。読書は成績のつく科目ではないので、比べる相手がそもそもいません。
ふたつ目。ゆっくり読んだ本のほうが、よく残っています。これは実感です。急いで読み飛ばした本より、時間をかけて読んだ本のほうが、場面を思い出せます。速さを追うと、読書の目的そのものを削ることがあります。
三つ目。遅い人は、1冊を長く楽しめます。面白い本に出会ったとき、それが早く終わってしまうのは、けっこう寂しいことです。2週間かけて読める人は、その本と2週間一緒にいられます。これは損ではなく得だと思っています。
読書のお供に(自作BGM)
ゆっくり読む時間に合うBGMを自分で作っています。急かされずに読みたいときの音として使ってもらえたら嬉しいです。詳しくはチャンネル紹介の記事へ。
読み方にルールはない
全部の文字を読まなくてもいいし、飛ばしてもいいし、途中でやめてもいい。僕はそう思っています。
この「ちゃんと読まなくてもいい」という考えについては、読書を横着する話で詳しく書きました。読み方を自由にしたほうが、結果的に読む量は増えます。
速さを気にして読むのをやめてしまうのが、いちばんもったいないと思います。読む速さより、自分のペースで読み続けていることのほうが大切です。
あなたのペースで大丈夫です。今日の10分が、ちゃんと読書です。






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